組対のデカ
「何言ってるんだ、君は?いい加減にしなさい」


「それはこっちのセリフです。一体何をなさっていたんですか?ここ二ヶ月から三ヶ月ほどの間」


「俺は腎臓病の治療してたし、今もしてる最中なんだ。君たち高検の検事には関係ないね」


「では転落死された長谷川元警部補の事件で、大塚会の北川や、共犯だったと考えられる河村組組長の愛人ですでに射殺済みの篠原優子のことは身に覚えがないと?」


「ああ、知らない。……全く高検の検事とあろうものがそんな杜撰な捜査をしていいと思ってるのかね?」


「杜撰とは言えませんよ。これはあなたが東京地検特捜部の一員であり、今回の事件を使って柳龍二民自党政調会長を追い、逮捕する算段を作ったのでしょうが、ものの見事に目論見が外れましたね」


「確かに俺は柳の汚職を追ってた。今はまだ退院できないが、いずれ復帰すれば追うつもりでいる」


「旧建設省OBの柳は、党内第一派閥神楽派(かぐらは)の実力者だった亡き神楽三蔵衆院議員に近付いていた。そして政治家に転身した族議員である。違いますか?」


「ああ、そうだ。だが俺が晴れて退院できれば、民自党や所属議員である柳たちを追うつもりでいる。その方針に変わりはない」
< 209 / 259 >

この作品をシェア

pagetop