組対のデカ
第37章
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 八月の頭が過ぎ、組対部内に詰めていた刑事たちも出払っている。


 俺と倉田五課長、それに隣のフロアには増田四課長がいた。


 組対四課の人間たちも出払ってしまって誰もいない。


 あのガサ入れの際、北山院が山本を撃ったのは意想外だった。


 やはり警視庁でも精鋭で通る北山院の特別捜査部隊の活躍ぶりはさすがで、河村組と大塚会の組員たちを残らずお縄にしてしまっている。


 あの捜索で主に活躍したのが、一課の人間と組対四課の捜査員たちだ。


 俺たち組対五課の刑事もあの事件では一定の活躍を見せた。


 警察が組織を挙げて葬ってしまった二つの暴力団の構成員たちは、長谷川元警部補の転落死事件に関わっていただけでなく、ずっと入院していた大口検事とも繋がっている。


 現役の検察官がヤクザと繋がっているのはまだ不可思議に思えた。


 だが、実際俺たち組織犯罪を取り締まる組対部の人間たちでさえも、動き辛いところがある。


 ずっと詰め続けていたのだが、事態が大きく変わることなく、単に時間が過ぎ去ってい
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