組対のデカ
 この二つの組がグルになって、他の組の事務所にカチコミをしたこともあったという。


 いわゆる殴り込みというやつだ。


 半分嫌がらせである。


 ヤクザなどそういった迷惑行為で飯を食っている人種だった。


 組織は温存されるのだが、下手に動き出すとマル暴から睨まれる。


 北川が長谷川が転落死したあの日の夜、あのビルの屋上にいた可能性は高い。


 俺たち組対――特に四課の方だが――は黙っているつもりだった。


 何か今動くと、返ってヤクザから仕返しをされそうだと思っていたからだ。


 俺も五課長の倉田から言われた。


「河村組と三嶋興業の連中をなぜ釈放したんだ?」と。


「いえ。ヤツらも口を割りませんからね。我々がどんな手段を使おうと、何も言いませんし」


「そんな連中遊ばせてていいのか?危険だろ?」
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