組対のデカ
 だがあの事件はホテルの一室の中で起きた密室事件として、捜査が難航している。


 遺体は所持していた運転免許証から、目黒区在住の会社社長、小波(こなみ)一雄という男性のものだと分かっていた。


 小波は事件当日、殺害されたホテルで自分の会社の顧客と会っていたらしい。


 それはホテルのフロントに詰めているホテルマンが証言している。


 確かに小波は殺害された十一階の部屋のキーを持って、コンシェルジュの案内で部屋へ向かったと。


 仮に小波を殺したのが相手した客だったとすると、会合に便乗した形で小波が闇に葬られた可能性が高い。


 継続捜査班もその点はしっかりと追っているのだった。


 現に特命捜査二係の刑事たちは犯行時間帯前後にホテル各所の防犯カメラに映っていた映像から小波の部屋に出入りした人間を調べ上げている。


 鑑識課の人間たちがカメラの映像をチェックし、繰り返し巻き戻ししたり、一部分を拡大したりして、誰があの部屋に出入りしたのかを確認済みだった。


 岩佐悦朗という男が捜査線上に浮上してきている。

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