【続】SWEET*AFTER7〜ハジメテの社内恋愛〜
すると、また拓海さんの手が何かを確かめるように指輪に触れる。



「…ちょっと緩いか?」



あたしが頷く前に指輪は外され、右手を取ってまた薬指に嵌め変えられる。


…今度はピッタリだった。



「ま、これは仮の安物だから。
次はちゃんと左手に嵌めさせてやるよ」


「……っ、拓海さぁん…っ!!」



あたしは高ぶる感情を堪えきれずに、涙を溢れさせながら拓海さんに抱きついた。


「うわっ」と声を上げた彼も、しっかりと抱きしめ返してくれる。



「…恥ずかしいヤツ」



クスリと笑ってそう呟きながらも、抱きしめる腕の力を緩めはしない。


式場に向かうカップル達がジロジロ見ていたに違いないけれど、もうそんなのもどうでもよかった。


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