どうして好きなんだろう

次の日、朝のホームルームが終わるなり前の席に座る真尋の背中をつつく。

「ねえ、同じ学年の長谷川って背の高い無愛想な人知ってる?」

私が持っている彼の情報っていえばそれくらい。

小柄な体をくるっと回転させて私に向き直る真尋。

長めの前髪とトレードマークの黒縁メガネで隠してるけど、ふっさふさでばっさばさの睫毛を瞬かせながら小首を傾げる。

「それって私に聞くの間違ってない?」

首を傾げたのはそっちの意味ね。まあ確かに、人のことにはあんまり興味のない真尋が知ってるとは考えにくい。

「そ、だよね~。」

一人で頷きながら終了させようとすると、

「その長谷川が何?」

珍しく喰らいつく。

「知ってんの?」

「知らない。」
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