君のコト、さらっていいですか…?
私と愼樹は二人とも

半ば嫌がりながら相合傘していた。

「部活やってねぇの?」

愼樹が真っ直ぐ歩きながら聞いてきた。

「あーまーね、

でもでもやってる帰宅部!」

ふざけてみた、こりゃ引かれるか…!?

「意外に笑えるヤツだな」

あ、ノッてきた。

「愼樹クンは何かやってたっけ??」

終始驚きながらも聞いてみた。

「お前、何回“クン”付けて呼ぶんだよ」

今度は怒った。

「す、すすすみません…」

すぐ忘れてしまう。

「んー両親の転勤多いから、

元からあんまやらないようにしてる」


「へー何回目??」


「3回目?かな」

私には一度も経験がないから

わかんないけど

大変なんだろうなー…

「あ、そーだ!

今日は映画“初恋”の日だー!!

ってあっ!…」

顔が真っ青になってきた。

「んだよ、本当に七変化だな」

ため息混じりに言われた。

「か、かか課題を忘れてた」

みるみるブルーになってく。

「だめだ、たまってる。

映画、ミレナイ」

でるのは冷や汗ばかり。

「教えてやろうか?」

私に少し光が見えた気がする。

「で、できればお願いしたい…です」

課題は今週中、終わるだろう、きっと。


そう思った…のに。



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