触れないキス
「こ、これは……」

「この高校、今年で創立20周年だから文化祭も第20回でしょ? で、名前が“若葉祭”だから葉っぱの絵にしたの。どう? 結構良くない!?」

「確かに発想はいいと思うんだけど……めちゃめちゃシンプルだよね」


葉っぱも本当に緑一色だし、他には何も描かれていない。

あとは文化祭名を入れるだけなんだろうけど……

これならもう終わるってことにも納得だわ。


「いーじゃん、シンプルイズベストでしょ! とりあえず出しときゃ成績1は免れるんだからそれでいーの!」

「まぁね……。あ、違う色の葉っぱとか描いたら更にいいかもよ?」

「あぁ、なるほどね! さっすが瑛菜! そのアイデアも~らい♪」


そして早速葉っぱを付け足していく凛。この大胆さが羨ましい……。

私はクスッと笑いながら、自分のポスターにも色を重ねていった。



それでもやっぱり間に合いそうもなく、私は放課後残ってやっていくことにした。

部活に行く凛と別れて、一人美術室に向かう。

校庭や部室の方から聞こえる賑やかな声が次第に小さくなり、静まり返った棟の中へ入った。

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