やっぱり、好きだ。
 
 「何を話せばいい?? 何が聞きたい?? 何を聞いてもいいよ。正直に話すよ」

 掴んでいた安田の洋服の裾を更にきつく握りしめ、更に強く唇を噛んだ。

 折角懐いてくれた安田もきっと、私の事を嫌いになってしまうだろう。

 「・・・・・・」

 安田は悲しそうな目をするだけで、何も訊いてこない。

 「・・・一方的に好きだった。青山先生の事。一緒にいる時間が長かったから、青山先生も自分の事を好きなのかなって勝手に思い込んでた。・・・怖いよね。キモいよね。嫌われてるなんて思ってもなくて、いっつも青山先生の事探して、追いかけて。青山先生の迷惑を何も考えてなかった。楽しいはずの青山先生の高校・大学時代の思い出に、私は汚点を付けてしまった。本当に申し訳なく・・・」

 だから、安田が知りたいであろう真実を明かす。10年前の後悔が押し寄せて、目に涙が滲み、声が途切れる。
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