やっぱり、好きだ。

 「その前に愛育まないとねー。サヤ子先生の辛抱堪らんらしいから」

 サヤ子をいじめると、サヤ子は真っ赤な顔で俺を睨みつけた。

 「くそばか翔太」

 サヤ子はケンカが下手だ。 

  幼稚園児並の悪口しか言わない。

 そこがサヤ子のいい所。そんなサヤ子がやっぱり好きだ。

 「いっぱい触らせてね」

 きっとサヤ子が悶絶するだろう言葉を、敢えて選んで言ってみる。

 案の定、目までもが血走る程に赤面したサヤ子は、何故か自分の太ももを『ばしばし』叩いては顔を手で仰いでいた。多分、サヤ子なりに相当悶だえまくっている。

  面白がってサヤ子の様子を眺めていると、サヤ子が横髪をとかす様に顔を隠しながら小さな声を出した。

 「・・・いっぱい触って。私もいっぱい触りたい」

  返り討ちにあった。

 俺、身悶えハンパない。
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