やっぱり、好きだ。
 
 こんな小さな事にドキドキしてしまう自分に呆れてしまう。青山くんには彼女さんがいるのに。それ以前に、私に好意など微塵もない事を、痛い程に知っているはずなのに。

 つい出てしまいそうになる溜息を飲み込む私の腕を、早く帰りたいのか、青山くんがグイグイ引っ張って歩き出すから

 「失礼しますね!! 気を付けて帰って下さいね!!」

 私たちとは別な方向に帰る3人に挨拶をして立ち去ろうとした時、不満そうに私を睨む朝倉先生と目が合った。

 違うのに。私は朝倉先生のライバルじゃないのに。青山くんに嫌われている私が、恋敵として同じ土俵に上がれるわけがないのに。あなたの敵は桜井先生でしょうよ。てか、彼女持ちの男を狙うなよ、朝倉先生!!

 心の中で盛大に突っ込みながら、青山くんに引きずられるままバス停に向かった。
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