君が居た世界が、この世で一番愛した世界だったから。
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愛って、なぁに?
そんな哲学を、十六の小娘が語れようか。

いや、語れる語れないは別として、こんな陽気の日にわざわざ頭を悩ませる話題で無い事は確かだ。

ジリジリと照りつける窓の向こう。
反射で漏れてくる光でさえ、殺人的破壊力を持っているのではないかと勘繰りたくなる。

手に取ったばかりのアイスキャンディー(ソーダ味)が既にポタポタと滴り始める。

「あーあ…。面倒くさいなぁ…。」

何か拭くものを、とソファーから腰を浮かせる。

夏休み。パパとママは夫婦慰安旅行と称して二人だけで旅行に行ってしまった。
しかも一週間も。その間、私は一週間だけの一人暮らしが決定した。
十六の娘を一人置いて、自分達だけ旅行に行くなんて、危機管理としてはちょっとどうなのって思ったりもしたけれど、実はそんなに悪い気もしていなかったりする。
正直なところ、私はワクワクしていたんだ。
たったの一週間だけでも、「一人暮らし」というイベントに。ちょっと大人になった様な気がして。
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