スーパーニート★パラダイス
喫茶店から歩いて間もない児童公園のベンチに多喜也と咲花は座っていた。
咲花の横にはさっきまで肩に掛けていた大きな鞄。
多喜也の手には数枚の原稿用紙。
喫茶店で異世界に飛ばされた多喜也は店を出てからもその続きが気になっていて、咲花に頼んで原稿を見せてもらっていた。
春を待つばかりの3月の午後は心を朗らかにしてくれる陽の光が公園を包んでいたが、しかし冷たい風はまだ冬の名残を残していてベンチに座る多喜也と咲花に吹き付ける。
咲花は反射的に身をすくめて寒さを堪え、横に居る多喜也を見る。
咲花は驚いた。
多喜也は微動だにしていない。