家元の花嫁【加筆修正中】
「ゆのちゃん、ちょっといいかしら?」
「はいっ。」
イケナイ、イケナイ。
手伝わなくちゃ!!
「何をすれば?」
「準備はもう終わり。それより、私たちも行かないと…。これに袖を通して?」
目の前には、見たことのない色の着物。
黒味がかった焦げ茶色。
地紋(織りで柄がある)は雪の柄。
素敵!こんな高そうな着物を私が?
私なんかが、着ちゃいけないんじゃない?
「あの…この着物は?」
「これ?初釜用のゆのちゃんのよ」
「えっ?わざわざ、私の為にご用意なさったんですか?」
「あら、やだ。初釜にはこれは必須なのよ?ほら、時間が無いから羽織って?」
隼斗さんのお母さんは、にこやかに着物を手に取った。