家元の花嫁【加筆修正中】
「うん。ゆっくりでいい。落ち着いてからで…」
ゆのは深呼吸を何度もして、話し始めた。
「隼斗さんが…その……経験豊富なのは分かります。凄くカッコいいですし、優しい方なので。女性が放っておかないと思うから…」
「・・・・・」
「だから、相手が椿さんであろうと…誰であろうと気にしてないと言うか…理解出来ます。」
「うん」
「私が気になったのは…」
「ん?何でも言って?」
「好きでも無いのに、その…“する”とか……の話です。」
あ―――――、やっぱり、そうだよな?
ゆのはそう思うよな?
「そうだな…。今の俺なら、ゆのと同じことを考えるよ。けど、何年か前の俺は“好き”の感情がどういうものなのか。考えて無かったし、麻痺してたから。」
「麻痺?」
「あぁ、今思えば、“本当の恋”を知らなかったんだと思う」
「本当……の………恋?」
ゆのは小首を傾げて、顔を上げた。