家元の花嫁【加筆修正中】


「はい。お母様が隼斗さんもお礼状を書くって教えて下さったんです。それにお礼状に文香を添えるって…」


「あぁ。うちは昔からお礼状には文香や印香を添えている」


「私、全然知らなかったんです。和紙や麻生地で香りを包むだなんて…。凄く素敵ですよね?お香にも沢山の種類や香りがあって、凄く勉強になりました」


ゆのは凄く楽しそうに話している。


さっきまで泣いていたのがウソのよう。


「ありがとな。この懐紙入れ、明日から使わせて貰うな?」


「喜んで貰えて嬉しいです」


ゆのは肩を竦めて微笑んだ。


俺はゆのを優しく抱き寄せ…


「ゆのも食べるか?」


「いいんですか?」


「あぁ」


俺はフォークで1口分取り、ゆのの口元へ


「ん?」


「自分で食べますよ?」


「いいから、ん?」


俺はフォークを口元に押し当てた。


ゆのは照れながら、パクッと食べた。


唇に付いたソースをペロリと舐める。


おぅ――――可愛い。


小動物に餌付けしてるみてぇ。


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