君が見上げたあの空は

箱庭と旅人

歩美は、自宅を見上げた。

…たった数日、帰っていなかっただけなのに、遠い感じ…。

前に立つ清美は扉の鍵を開けた。



「続け」



先を行く、肩にもかからない辺りで切り揃えられた、艶やかな黒髪は、振り向きもしない。

歩美は言われた通り、清美の後に続き、自宅に入った。



「…日本警察は、行儀が良いな」



清美はそれだけ言って、奥に進んだ。

家の中は、見事に、「現場復帰」されていた。



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