岬の夕陽
そして僕たちは翌年1月2日に、あの岬でまた再会することが出来た。

史郎の日常も、真智子の日常も、何も好転することはなかった。

ただ2人はそれを苦痛に思わなくなってきた。

またあの日になれば、あの人に会えると思えたからだ。

この半年の間、あの1日は2人にとってかけがえのない支えであり、救いであった。

それが恋心に変わるのに時間は充分だった。

2人は岬で会い、また史郎が用意した駅弁とお茶で1日を過ごした。

真智子はこっそりと店から抜け出していた。

史郎と真智子は2人の時間を満喫した。

そしてその日の夜、来年のあの日、

2人が初めて会ったあの8月27日に再会することを約束し、別れた。
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