ホームレスな御曹司…!?
「利用してる?」


「え…?」


「時弥を忘れるために、ボクを利用してるよね」


「そんな事…!」


「正直、気分悪いな。こういう八つ当たり的なセックス」


「違うっ!あたしは…あたしは広樹に愛されたいのっ」


「身も心もどっか置いてきて?空っぽの知香ちゃんを抱けって?」


「広樹…お願い…っ…っ…。あたしを温めて…っ…!」


「寒さを感じる心はボクのせいじゃないよ。時弥のせいだろ?ボクに押し付けるなッ!!」


───ビクンッ!



初めて聞く広樹の声に身がすくむ。


あたしは…。


あたしは、また…広樹を…。


傷つけた───。


持ってない心で誘って、捨てっぱちに広樹に飛び込んで。


こんなの。


まともな“恋愛”じゃないよ、ね…。
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