ホームレスな御曹司…!?
公園を何周もして、ベンチに座ったり、鳩にパンを散らしてみたり。


暗くなるまでそうして夜を待った。


握り締めたケータイの着信音は、まだ響かない。


それでもあたしはここから動きたくなかった。


動けなかった。


街灯が照らすホームレス小屋を眺めて、時計は夜の10時を指す。


今晩…。


あたしの恋は終わる。


好き。


大好き。


サラサラの髪も、茶色がかった時々Sな瞳も、意地悪く笑う口元も、あたたかい腕の中も…キス、も…。


どうしようもなく気持ちが走る。


だから。


勇気出せ、あたし。


ぎゅっと握ったこぶしに力をこめた。
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