ホームレスな御曹司…!?
「もう…いいです…」


諦めという二重の鍵をかけて、あたしは茅原さんの手を握った。


「二度とアイツを追わないで。少しずつでいい、ボクに近づいてくれるね?」


「…うん」


あったはずの小屋に背を向けて歩き出すと、


「おっと、ネエちゃん!」


「?」


ヤスさんは汚れたコートの中からクシャクシャになったメモをあたしに差し出した。


「トキちゃん、もしネエちゃんがここに来るような事があったら、コレ、渡してくれって」


「え…?」


「それ以外は何も言ってなかったな」


「そうですか…。ヤスさん、ありがとうございます」


渡されたクシャクシャのメモは───ケー番。


11ケタのその数字を、あたしはとっさに覚えた。


メモに伸びた茅原さんの手。


「没収、ね?」


「うん…」


「さ、コレでトキヤはおしまい。知香ちゃん、今日はデートの約束だよ?」


「うん…」


「ボクの家、行くよ?」


「…うん」


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