ホームレスな御曹司…!?
着いた先は、あの公園。


茅原さんはあたしの手を取り、公園奥のホームレスの家が並ぶ一帯まで、ゆっくり歩いてく。


目印の一本の木。


そこにあったはずの段ボールとビニールシートは、跡形もなく消えていた。


「チカブミ、さん…」


「お、いつかのネエちゃん」


「ヤスさん!あの、チカブミさんは…?」


「あぁ、トキちゃんな。なんでも欲しい物があるとか言ってな、元の生活に戻って仕切り直したいとか言ってたなぁ。急に脱ホームレス宣言して、フラッとどこかへ行っちまったよ」


どこかへ…って、どこ?


「茅原さん!チカブミさんはどこ?ねぇ、知ってるんでしょ?」


「うん、知ってる」


「教えてっ」


「ボクの彼女である知香ちゃんがトキヤを知りたい理由って、何?」


「それは…」


それは…答えは、鍵をかけた心の引き出しの奥にある、あたしだけの秘密。


あけちゃ、ダメ。


ダメ…溢れないで…っ!
< 75 / 206 >

この作品をシェア

pagetop