ホームレスな御曹司…!?
───ピピピッ、ピピピッ


「ん…。うぅ~ん…」


世界が回るぅー…。


気持ち悪い上に…臭い…!


…臭い?


「知香?目、覚めた?」


「あー…凛…?ここ?」


「知香のアパートだよッ。もうっ、覚えてないのッ!?」


「うっ…!トイレ…!」


勢いよくベッドから体をはがし、トイレへ直行。


どれだけ吐いてもこの不快感は拭えず、胃が空っぽになったところで便器を抱えたあたしの上に、凛の容赦ない声が降る。


「あたし、今朝は重役会議あるから、後は“あの人”に任せるから。じゃ、夜にでもケータイ鳴らすからね?ウチの会社に来るかどうか、答え聞かせてよっ」


───バタンッ!


玄関の閉まる音と同時に残されたのは、嘔吐物にまみれたあたしの服の匂いと、ゴミ臭さ。
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