ホームレスな御曹司…!?
ん…?



何?この匂い…。


あたし…酔っ払ってゴミでもあさってたのかな…。


ゴミと汗臭さが混じったような…。


「オイ」


「ヒィィィーッ!!」


凛が出て行って誰もいなくなったと思っていた背後からかけられた声に、可愛気のない悲鳴がもれる。


「大丈夫か?」


「あ、あ、あっ!あなた、誰ッ!?」


まだ便器を抱えたままのあたしの後ろには、見覚えのない、お世辞にもきれいな身なりとは言い難い長身の男の人!!


誰ッ!!


「覚えてないのか?」


「だから誰ッ!?」


「凛がいれば説明も手こずらずに済むんだけど…帰っちゃったしな…」


ポリポリと長髪の頭を掻くと、白い粉が舞う。


フケ!?


この男は一体何者!?


痩せた体にダブダブの汚れたコート、乱れた髪に無精ヒゲ…。


おまけにこのゴミ臭さ!!
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