小さな幸せ
「今日はもうあがりでしょ?」

覚君さっきのこと気にしててくれてる。


「飯食べに行こう、奢るし。」


「いいよいいよ、自分の分は出す。でも行く。」


近くの定食屋さん

覚君とは良く此処でご飯を食べる。


安くてボリュ-ムのあるメニュ-がたくさんある。


「さっきのさ、聞こえてた。」


覚君は言いにくそうに話を切り出す。


「うん、まあいつもの事だよ。」


「俺、あの時の謝ってなかったよね?」


「あの時のって?」


「俺も最初アイツと同じようなこと言った。

「つかえね-。」とかもっと辛辣な

 こと言ってたよな。」


覚君は凄く決まりの悪い顔をして、

「ずっと、謝りたかったんだよ。」


「事実なんだよ、この仕事は、

 才能がある人がすべきだもの。

 さすがに会っていきなりは凹むね。」

 

料理がやってきて、目の前に並ぶ。

あたし達は無言で食べてから。


「今日はさそってくれてありがとう。

 一人だったらもっと凹んでた。」


お礼を言って帰ろうとしたあたしに。


「やめんなよ!


 わっこちゃんのいいとこは後からじわじわ来るんだから。

 みんな口には出さないだけで、

 わっこちゃんの事評価してるんだから。

 わっこちゃんはあそこに必要なんだからね。」













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