小さな幸せ
「…と、まあこんな感じです。

 私は指導は入らなかったんですが、

 角田さんは、色々教えてあげてください。」


「どうして、指導の入らなかったんですか?」


「私は、専門じゃないので基本までしか関わってないんです。

 角田さんみたいな実力のある人が羨ましいです。」



「そうですか?

 そんな人が何で社員で、

 あたしは契約なんだろう。

 ズルくないですか?」


挑戦的な目であたしを見てくる。


こんなの慣れっこだ。

大抵、初め、

皆、こんな風にあたしみたいなのがここにいるのを訝る。


自分だってそう思うもの他の人がそう思うのはしょうがない。


「角田さん!!」


覚君が呼ぶ声で緊張が途切れる。


「は-い!」

と弾んだ声で返事をして去って行った。


唇を噛みながらかたづけ作業をする。


くやしい。


でも逃げたくなくて、

だから頑張って続けているけど、

時々くじけそうになる。


いつも助けてくれた葵ちゃんはもういない。




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