小さな幸せ
事務の人達と、調整の話しあいをする。


「後一日来るとすると、有給が消化できるから、

 いつにする?」


「後一日で終わり、ですか、」


「月曜日でどう?」


「はい。」


後一日でここにはこんな風に来られなくなる。


胸がきゅっと締め付けられる。


自分で決めたんだ。



葵ちゃんに別れを言われたあの日。

あの日の葵ちゃんと同じ胸の痛みを私は抱えているんだね。


ここで過ごした時間は、間違いなく私の大切な生きた軌跡だ

生きている限りこれからも私は軌跡を描き続ける。


それがたとえ違う場所であろうと

精一杯がんばろう。


大切にしてくれた人たちに恥じない生き方をしたい。


6時、


惣さんの待つ場所へ向かう。


大切な人。


これからはあなたと共に。






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