小さな幸せ
さっきまでの事を思い出すと、

恐ろしくてまた体中が震えてくる。


車をスク-ルに取りに行くことを、

取り乱すぐらい怖がっていた和実を、

あの時駐車場でおろして、

Uタ-ンしてしまった。


和実が車発進させるまで確認しなかった俺が

この事件の引き金になったのは否めない。


笑顔で手を振っていた和実が

そのまま姿を消すなんて、

誰が想像できただろうか。


和実の実家についても一向に帰る様子がない

携帯に電話すると、

要領を掴めない返辞と、男の声で


『暫く彼女をお借りしますので、ご心配なく。』


などという言葉が返って来たとたん電源が切られた。


和実の行方を

GPSで追ったが、

携帯とキ-ホルダ-につけたGPSと場所が

違っていたことで、


「誘拐に間違いないと。」


和実のお父さんが判断した。


「兄さんかもしれない。」


とお母さんが言いだし、

警察に届けるのがためらわれた。


俺はGPSから場所を割りだした。


以外にも車で10分もしない場所だった。




< 203 / 297 >

この作品をシェア

pagetop