小さな幸せ
「ねえ、初めてのキス覚えてる?」


「うん、たしか、俺が携帯を壊して、

 久しぶりに会えた夜だったよね。」


「そう、あたし、あの時すっごく幸せだった。」


「へえ、そう?」


「あれからいっぱい惣から幸せ貰ってる。」


「いっぱい?」


「そういっぱい。数えきれない。」


「それは、俺も同じだよ。

 俺は、和実が傍にいるだけで幸せ。」


ふふっ

「幸せの大安売りだね。」


「そうだな。」


「今日みたいにケンカしたらキスしようね。


 あたしキス一つで凄く幸せになれるから。


 きっとすぐ惣の事許せちゃう。」


「ホントかな、和実結構頑固じゃないか。」


「ホントだよ、ためしに怒らせてみる?」


それはちょっと難しいな、

和実を本気で怒らせるツボは未だ良く理解できない。


「無理。」


俺は笑って頬にキスした。


「キスでよければいつでもするけど?」



「もおぉ」


恥ずかしそうに笑った。








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