小さな幸せ
「和実は俺の事、友だちになんて話してるの?」

「うん??結婚する人?」

「それだけ?」

「あ、29歳にして初めて付き合うに至った人って事になってる。」

「は?うそつき、中学の時、結婚の約束までしてた癖に。

 高校の時も未遂だけど…」


「あああ、もうっそんな細かいことは話してないの、時効でしょ…」

「もしかして、和実って学生時代作ってた?まさか今も?」

「違う、、だって付き合うって範囲が難しいし、

 わざわざそんな話しないよ。」


ぷぷっ


「惣っ」///


「判ってる大丈夫だから。」



私達の間にはほぼ隠し事はない。


あったとしても、聞かれればちゃんと話せるし、

話してくれると信じている。


別々の場所で30年近く生きてきた二人。


まだ、二人の時間も記憶も、重なる場所は少ないけれど、

その分、足りない部分をお互いに補う作業は、心地いい。


分かりあえた時、満たされる感覚が、

たまらなく愛おしい。
< 253 / 297 >

この作品をシェア

pagetop