Love Story's+α



「Trick or Treat」


今日はハロウィン。


道の両脇にカボチャのランタンが並び雰囲気を盛り上げてる。


でも俺の目当ては路地裏にあるバー


「いらっしゃいませ」


カウンターに座るとマスターが


「帰られたんですか?」


「えぇ。覚えてくれていて嬉しいですよ」


俺の好きなバーボンを飲みながら


「この辺りも変わったようだ」


「気軽に入れる店が増えました」


確かにこの街も変わった。


「此処があって安心したよ。やっと帰って来たって」


「そう言ってもらえると有難いです」


店には静かにジャズが流れ


「今日はハロウィンですね」


「そうだな」


「最後に来て下さったのもハロウィンでしたね」


「あぁ」


二年前海外赴任が決まり此処に。


そして…


「俺は未練がましいのかな。本当なら」


コトン!


もう一杯グラスが差し出され


「どうぞ」


どれくらいの時が流れたか客は俺一人。

看板の時間だ。


「ありがとう。やっぱり来てよかった」


「またおいで下さい」


スツールから立ち上がった時




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