Love Story's+α
「乃亜さん、大丈夫ですか?」
「えっ?」
声を掛けたスタッフを見ると
「乃亜さん泣きそう」
頬に手をやり
「大丈夫だよ」
「乃亜さん今までメンバーと頑張ってきたんだから泣いちゃうのも当たり前です よ。俺だってヤバイですもん」
このスタッフもデビュー以来ずっと一緒にやってきてるから気持ちは同じだ。
「そうだね。でも泣いてる暇はないよ。 泣くのは帰ってからね」
「はい」
メンバーが袖に掃けて来て
「お疲れさま」
「お疲れ」
まだアンコールを求める手拍子は鳴り止まないけれどこれ以上は無理だ。
メンバーを楽屋に引き戻す。
楽屋でみんな魂が抜けたみたいに椅子に崩れ落ちた。
タオルとミネラルウォーターを渡し
「おめでとう、みんな。大成功だよ」
「……」
みんな話すことすら出来ないような状態。
「本当に最高のライヴだった。みんな輝 いてたよ」
「乃亜」
「うん?」
「ありがとうな」
シンが急に改まったように
「乃亜がいてくれたから俺達やってこれ た」
「そうだよ、乃亜。マネージャーとして尽力してくれたから」
「にわチャン」
「乃亜さんのお陰ですよ、本当に。俺なんか乃亜さんに甘えっぱなしなんだから 」
「嵐」
嵐だけはまだ大学三年生
一人だけ年下というのと後の三人と私が高校の時からの同級生なので、たまに疎 外感を感じて卑屈になったりしていた。
「みんな…そんなこと言われたら…」
泣いちゃうじゃない。