静寂のグレイ

・・・心の整理とかいう綺麗な言葉があるけれど、本当の意味での其れは実はとても時間がかかることだし、その為に私は立ち止まってはいられない。少しずつでも前へ進もうと動き出すことで、同時に整理されていくものだと思うから。

だから、私は曖昧なままでいいんです、と、その靴屋を後にした。


手を伸ばせば触れることが出来るのに、程よい距離を保って、相手に踏み込みすぎないこと。
手に入れにくいものを追い続けること。
一瞬でも、隣に寄り添うこと。
誰かと重なる時間に、タイムリミットが在ること。

全ては分かっている。だからこそ、分かつのだ。

白でも黒でもない、曖昧なグレイという色は、実に20種類も在るのだという。
それならば、私は様々なグレイを身に纏い、決して相手を傷つけることなく、むしろ敬意と品を持って、側で寄り添っていよう。

曖昧とは、それは優しく美しい、私の最高の在り方なのだから。










































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