キミの知らない物語。【完】
驚いて息をのんで、気付くと涙は止まっていた。
「――っこのバカ!」
早足であたしの元へ歩いてきた悠也に、大声で怒鳴られる。
その声は、目は、雷と同じくらい怖くて、あたしは呆気にとられて、戸惑った。
――なんで?
なんであんたが、ここにいるの?
「……ゆ、」
――瞬間、体は暖かい何かで包まれた。
それが悠也の温もりだと気付くのに、そう時間はかからない。
「ゆ、悠也……?」
訊くこと、いっぱいあるんだけど。
菜乃子のこととか。何でここにいるのとか。何であたしを抱きしめたのとか。
他にも色々。