深海の眠り姫 -no sleeping beauty-
…どのタイミングで名前で彼を呼ぶようになるのかなんてそんなの、こっちが教えてほしいくらいなのに。
「まぁどっちでも直人はかまわないみたいだけどね。僕にまでのろけてくるんだもん」
「…え?」
「環ちゃんて今まで直人の周りにいた女たちとは正反対のタイプだし、かわいくて仕方ないみたいだよ?確かに環ちゃんて庇護欲そそるというか甘やかしたくなるというか」
ユウさんがいつもの王子様スマイルでそう話すのを聞いて私が恥ずかしくなっていると、乱暴に部屋の扉が開く。
そこから顔を覗かせるのは不機嫌な表情をした芦谷さんで。
「………侑。てめぇ環を口説く気か」
そう言うもんだから、いよいよユウさんは声を上げて笑い出した。