深海の眠り姫 -no sleeping beauty-
そんなことを考えているうちにヘアメイクも完了し、ユウさんは一足先に部屋を出ていった。
私はというと、ユウさんがいなくなってからすぐに直人さんに抱き締められ、まじまじと顔を覗かれている。
「そんなに見ないでくださいよ」
「…いいじゃねぇか。グロスとれちまうからキスもできないんだ、見つめるくらい」
じぃっと私を見つめる直人さんの視線がくすぐったくてたまらない。
たまらなく、幸せで。
「―――時間だ、行くか」
私の腰に腕を回しそう言った直人さん。
「…はい」
これから人前に出るのにくっつくのを止めない彼を咎めることもできなくて、私は頬を赤らめながらも頷いて歩き出すのだった。