深海の眠り姫 -no sleeping beauty-





(なんで、こんな…)


密着する身体から伝わってくる熱に目眩がした。
うまく働かない思考回路が憎らしくて、私は思わず唇をかみしめる。


…なんでこんなことに?



「私にかまわなくても、女に不自由はしてないんでしょう?」




思ったことを口にすると腕の力が一層きつくなる。
図星だったのだろうか、そう思って振り返ると彼はやっぱりぽかんとしている。


かと思うと、盛大に笑い出した。



「―――しっかし可愛くねぇ女だなァ!」





< 25 / 159 >

この作品をシェア

pagetop