深海の眠り姫 -no sleeping beauty-





のどが渇いてもおなかが空いても、台所には近づけない。
トイレにも行けなくて、ついに私はその場にお漏らしをしてしまった。


発見されるまでの3日間で、私はもう何も考えられなくなっていった。


ただ、この世に私の味方はいない。
それだけはわかったから。


それからは静かに、死んでいるように生きていたの。










―――私に触れる暖かいものに気づいて目を開けると、そこは知らない部屋だった。


ソファに寝かされている私のそばに座り私の頭を撫でる芦谷さん。
私を見つめる優しすぎるまなざしに、堰を切ったように涙があふれて止まらなかった。





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