深海の眠り姫 -no sleeping beauty-





「わ、たしも、…好き」


言うつもりなんかなかったのに。
ずっと心の中にしまって、誰にも内緒にしようと思っていた気持ちだったのに。


―――初めて私を好きになってくれた人。
私を、見つけてくれた人。


私のほうこそ、どうか嫌わないで。






「環。…環、」


芦谷さんは私の名前を大切なもののように呼ぶ。
その声を合図に私が彼と視線を合わせると、とろけちゃいそうなまなざしとぶつかって。



「好きだ」


そのまま私の唇を吐息ごと塞いで絡め取っていく。
二度目のキスに、私はゆっくり目を閉じた。





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