深海の眠り姫 -no sleeping beauty-





芦谷さんは私の頬に手を添え、私をなだめるように何回も何回も頬を撫でる。
その手が優しくて、私の涙は止まらなくて溢れっぱなしになっていく。



「…大事なこと言ってなかったなぁ」


そうつぶやくと、泣き疲れてきてぼんやりしている私と額をくっつける。



「俺、初めて環のことを抱いて寝たときからずっと環が好きだった。こんな風に好きになるの、初めてで…だから、環を傷つけてることにも気づかなかった。ごめん、環――…」


嫌わないでくれ、と小さく言った芦谷さんの掠れた声。
私の頬に触れる手がほんの少し震えている。



「嫌いになんて、…」


なれない。
なれるわけ、ない。





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