ようこそ!マル質番外編

ネコの戸惑い

気がつくとそこは真っ暗な空間だった。


―ああ、目がないからもう何も見えないんだ


彼はとても悲しい気持ちだった。


『おい、白ネコ』


呼びかけられて彼の耳がピクリと反応した。


―あれ?今頭の上で何かが動いた!


彼が恐る恐る右前足を頭の上にやると、そこには切り取られたはずの耳があった。


―耳だ!オレの耳だ!!


 それに・・・耳に触れてるこれは右手だ!!


彼は嬉しくてそこいらじゅうを転げ回った。


―やっぱり、あれは夢だったんだ!


 飛びきり最悪の悪夢だったんだ!!


しかし、非情にもその声は告げたのだった。
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