ようこそ!マル質番外編
『哀れな白ネコ・・・


生きながら切り刻まれるとは、


ヒトの何と無情な生き物か・・・』


彼ははっとして転げ回るのを止めた。


しょんぼりと項垂れる彼の背を、誰かの大きな手が優しく撫でた。


―これは・・・ニンゲンの手だ!


彼はばっと飛びのいて背中の毛を逆立てた。


―ニンゲンは許さない!!


いきり立つ彼に、『声』はクスリと笑ったようだった。


『私はヒトではないよ、白ネコ。


今はお前に触れる為にヒトの形を取ってはいるがな。』


―お前は誰だ!オレはどうしてこんな処にいるんだ!?


その時、ゆっくりと・・・ゆっくりと彼の視界が開けていったのだった。
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