夕日塔の約束
美術室の前には、オレも含めて3人の男女が取り残された。


「おっと…すみません」


ヒョイッと出入口から離れたのは、宮迫 直次《みやさこ なおつぐ》。


濃い茶髪が目立つけど、実は頭がいいオレの友達。


「アナタも出入口の前に突っ立ってると、通行のジャマになるんですけど」


オレに鋭い視線を向ける遠藤 稚鶴さんの、永遠のライバルらしい。


「あっ……ごめん」


オレも壁側に行き、道を開ける。


「――――夕穂に関わらないでちょうだい」


遠藤さんが本当に小さく言った忠告は、ドスッとオレの胸に突き刺さった。
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