あなただけを愛したい
大好き
『柑那』



何で先生がここにいるの?


何で“柑那”って呼ぶの?



「あっ、柑那、もうあがっていいよ」


「えっ!?」



梨花ちゃんは、先生があたしの知り合いだと思ったらしく、あがらせてくれると言った。


確かに知り合いだけど……


あたし、ずっと騙すようなことをしていたのに……


このまま普通に話すことなんて……


できないよ――…




ロッカーにしまってある自分のバッグを手にして、大きく深呼吸をする。


『柑那』って呼んだってことは、あたしが“亜衣”じゃないって気付いてる証拠。


怒られる?


もう、……嫌われたよね。


あのままさよならしたかった。


あたしがあんなひどいことをしたから、罰が当たったんだ。
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