あなただけを愛したい
過去
*



翌日は土曜日だったから、やっちゃんに航のアパートまで送ってもらった。



「結局、柑那の彼氏はどんなヤツなんだよ?俺だけ知らねぇなんて、仲間外れ?」


「そんなわけないじゃない。そのうち柑那からちゃんと話してくれるって。ね、柑那?」


「うん。今度ちゃんと話すから」



お姉ちゃんは、昨日の話を聞いてくれたから、今はあまり航のことには触れないで、そっとしてくれようとしてる。


正直、ありがたい。


でも車内では、ずっとやっちゃんの愚痴がとんでいた。




やっちゃんの車を降りて、ずっとどきどきする胸を押さえながら、航のアパートの階段を上がる。


部屋のドアを前にして、大きく深呼吸をしてから、震える指でインターフォンを押した。
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