君のしもべ
「家も変わってないけど
父さんも変わってないなー」
兄が笑う。
「お前たちは随分でかくなったなー!」
奥から出てきたのは
少し老けた父だった。
たまーに家には顔を出してたけど
ここ数年は会ってなかった。
・・・毛減ってる?
「ほら!入れ!入れ!
お前たちの家なんだから!」
父が私と兄の腕を掴んだ。
「父さん相変わらずだね~」
兄と私は靴を脱いで家にあがる。
「和広も相変わらずだよー
いっつもいっつも
言い出したら聞かねえで!
今回も突然電話してくるからよー・・」
昔から父はお喋りな人。
話し出したら止まらない。
ミシ・・ミシ・・
「うわ、」
相変わらずこの家の床、変な音。
本当に変わってない。
「あ!奈緒!お前
ほんとでかくなったなー!
父さんびっくりだー!」
「そりゃ、いつまでも
幼児じゃないからね」
そう言い残して
私は台所に向かった。