白い狐とワケあり男子
『それでいいんですか?』
「あぁ。前に食べたとき、結構美味かったからな」
『そうですか。じゃ、残りは持って帰りますね』

さっさと残り4個のチロルをまとめてポケットに仕舞った。

…家に帰って食べよっと。

「オイ。」
『…なんでしょうか』
「手ぇ出せ」
『はぁ?なんで』
「いいから」

なんだ、嫌な予感しかしないんだけど。

渋々手を出すと、ポトリと何かが置かれた。

え、これって…

『チロルの紙ゴミじゃないですか!!』
「捨てといて」
『自分のゴミでしょっ!?』
「買ったのは君だろ」
『買わせたのはどこの誰ですか。私は捨てません』

どうして私がそこまでしなくちゃいけないんだ。
私はこの人の母親かっての!

私は手渡されたゴミを相手のポケットに突っ込んだ。

『自分のゴミは持って帰りましょうね』
「お前、何年だ」
『一年生です』
「じゃ、俺先輩だわ。はい、先輩命令。捨ててこい」
『嫌です。先輩は自分の事すら出来ないんですか』

あぁもう、しつこいな!
ゴミくらい自分で捨てて下さいよっ
…というか、先輩だったんだ。

「強情なやつ。」
『先輩こそ。』
「…。もう一個チロルくれたら、ゴミ持って帰ってやる」
『なんでそうなるんですか、嫌ですよ。残りは私が食べるんですから』
「じゃ、俺と延々と言い合いたいんだな」

あ、それは面倒。
なんか、いかにも勝ったっていう顔してるんだが…。
あぁもう!仕方がないっ

『選んでくださいっ!!』
「賢明な判断だな」

私はこの人にどこまで舐められてるんだろ…。


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私の日常は ちょっとした世界の歪みによって 180度変わってしまった。 私の名前は日野明希(ヒノアキ)。 友達からは明希と呼ばれている。 考えるより、まず行動派。 中途半端は大嫌い。 でも、こんな性格のせいで どんな時でも 行き当たりばったりな生活をしていた。 私の日常も 彼女の出現によって変わっていった。 私はレクシス・ローペニア。 ゼぺル村の宿屋の娘。 勉強は得意だし、好きだ。 後先の事をよく考える慎重派。 でも、こんな性格のせいで いつも後悔ばかりしていた。 そんな二人が出会ったのは 今から少し前の話。 明希の世界と 契約と魔法の世界が繋がったあの日… ――今から2週間前。 明希の14歳の誕生日の事だった。

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