LOVE OF DISTINY〜最低で構わないから〜【完】
「…海斗…」



ジャケットの裾を掴む成美の手を握ると、求めてた、探してた温もりに、ようやく触れれた。



「…何よ、2人とも。偽善ぶって、幸せを見せ付け?やってらんないわ」



優里は唇を噛み締め、去ろうとする。

そんな優里を呼び止めると、首だけを回し、振り返って来た。



「まだ何かあるの?大好きな彼女に、謝罪をしろとでも?」



「別に。今のお前に、謝罪なんか求めない」



心のない、ただの音だけの“ごめんなさい”なんて、成美もいらないだろう。

ただ一言だけ伝えられるとするなら。
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