桜星サンセット
「かわいそうとか思ってる?」

うっ、思ってる。

「それは思い上がり。私に言わせれば何様って感じ。男の子を下に見ている。かわいそうだからってメールしてもらって嬉しいと思う?コウはかわいそうだから話してあげるって思いながら話すの?」

うーー、言葉が出ない。

「じゃあ、今日会った人の中で、顔と声両方はっきり思い出せる人っている?」

「・・・いない」

「やっぱり全部パスね」

「それで何が分かるの?」

もう思考回路が働かない。

素直に聞いた。

「顔は単に好みかどうか。良くも悪くも。声は、残るものなの。耳の奥深くに刻まれる。コウは恋愛初心者だからそれをチェックするだけでいい」

「ふーーん」

「本当に付き合うべき人はずっと前から決まってるから、その人をちゃんと探そうね」

諭すような優しい言葉は、混乱した私を落ち着かせた。

< 56 / 280 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop