記憶が思い出に変わる時(仮)




あたしはまた病院の中にいた。


「ゆーりちゃんっていうの?!かわいい名まえ~!」

そう言って笑う顔は
まるで天使のよう。

でもその体には
点滴がされていた。

「しぃね、村岡椎奈(しいな)!6歳になったばっかなんだぁ!!」

「じゃあ小学1年生?」

「ん~、しぃ入学式行けなかったから早く学校行きたいなぁ…」


見た目はこんなに元気そうなのに。

日向の妹は
生まれつき、心臓が弱いらしい。


「しぃ、また来るから今日もちゃんと寝てろよ」

「はーい!しぃ、いいこにしてる!」

ニコニコ笑顔の椎奈ちゃんを撫でる日向の表情はとても穏やかで、椎奈ちゃんが大切なんだ、ってすごく伝わって来た。


でもね、日向。
気づいてる?

椎奈ちゃん、泣きそうな顔してるの。

きっとお兄ちゃんと
もっといたい、って

帰ってなんか欲しくない、って
気持ちを隠してるんだ…

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